石けんラボ

外用で使えるドライハーブを『浸剤』・『浸出油』・『チンキ剤』と3つの剤型エキスを使って、石けんをつくります。仕上がりや香り、使用感などを、モニターを通じてレポートを発表していきます。

第5回「ユキノシタの石けん」


ハーブ:ユキノシタ

学名:Saxifraga stolonifera
科名:ユキノシタ科
属名:ユキノシタ属
使用部位:葉部
別名:イドグサ、ミミダレグサ
生薬名:虎耳草(葉が虎の耳のような形をすることから名づけられたもので、開花時の葉を採取して陰干しにした生薬)、コジソウ
北海道を除く日本全域の湿地や庭に多く自生する常緑性の多年草。
ユキノシタは雑草でありながら可憐でかわいい白い花をつけ、私たちをほっと和ませてくれる素敵な植物です。花弁は5枚ありそのうち下の2弁が大きく垂れ下がって円錐花序につけ、雪がふっても枯れずに緑鮮やかに生き生きしていることや、また葉の上に白い花が咲くのを雪に例え、「ユキノシタ」と名づけられたという説があります。また他にも中国名の「石荷」を「雪下」という文字にあてたという説などもあります。
ユキノシタの成分を調べてみると、主にフラボノイド(サキシフラジン、ケルシトリン)、アルブチン、カリウム塩、タンニン(プロアントシアニジン)、ペルゲニン、エスクレチン、精油成分(カンフェン、リナロール、ボルネオール)などがあげられます。
作用としては解熱、鎮咳、消炎、小児のひきつけ、むくみ、風邪、気管支炎、扁桃腺炎、中耳炎、湿疹、かぶれ、かゆみなど、古くから家庭の万能薬としても活躍していたことがうかがえます。
ユキノシタの葉は厚く、触ると毛が生えていてふわふわした感触で、4-6月の開花期に葉を採取して乾燥して煎じて服用するとよいそうです。外用には生葉を揉んで直接塗布。葉の裏は紫色と白色のものとあり、どちらも薬用になります。中医学では薬用として全草を用いるとも記載されています。
またよく見る処方には、生葉を絞った汁を数滴耳に落とすと中耳炎に良いとされ、また外耳炎にも使えるとのこと。「耳垂草」や「耳草」と呼ばれ多くの地域で、この植物を耳の不調に用いていたことがわかります。
東条百合子さんのゆきのした療法では、耳が痛むとき、ゆきのしたの葉を揉んで耳の穴に一滴落とし、ガーゼまたは脱脂綿で栓をする。とあり、胃痙攣などのときに青汁をしぼって盃半分位を飲むと痛みがとまります、と記されています。また傷やヤケド、ひきつけ、虫歯、むくみなどにも適応でき、様々な料理方法で健康食として利用することもできます。 薬用だけでなく、食事としても使うことができて、葉の片面に衣をつけて揚げた、春の摘草の天ぷらはご馳走です。またサラダやおひたしも美味しいですが、食べすぎはお腹がゆるくなってしまうので注意が必要です。

ユキノシタの石けんづくり

今回のポイント!
あまり石けん作りに関する情報の多くないユキノシタ。いつもの通り、浸出油・チンキ剤・浸剤の3種類を試した。
ユキノシタは全草の乾燥を用いた。各剤を作るにあたり、手で揉んで細かく砕いた。今回はアルカリ水用の水分量を、油脂量の35%とした。

★事前準備
【浸出油】ユキノシタ31.5gを基本のレシピの油脂600gに2週間漬け込み。
【浸剤】熱湯 80g ユキノシタ 5g 浄水器使用の水を沸騰させたものを使用し、上記分量でハーブティを作る。1時間ほど浸出。

【チンキ剤】ホワイトリカー35% 120cc ユキノシタ 5g アルコール度35%の焼酎に、ユキノシタを2週間漬け込み。アルコール度が高めで煮切るのが難しく、量も減ってしまうので今回はそのまま使う。

★仕込み

【浸出油】油の色は若干茶色っぽくなった。香りはない。砕いたユキノシタの細かい粒が残った。アルカリ水を投入するとすぐに白っぽくなるが、トレースはなかなか出ない。
20分攪拌後、休憩を入れながら2時間近く混ぜてやっと重たいポタージュといった感じ。 ブレンダーを仕様、攪拌開始から2時間半後に型入れ。木型使用。
色は薄いベージュに。香りは特にない。ダンボール箱で24時間保温。
【チンキ剤】【浸剤】油・アルカリ水とも45度程度でで混合、20分攪拌。ブレンダーを使ってゆるくトレースが出たところで2分割、それぞれに【チンキ剤】【浸剤】を投入。
>【チンキ剤】【浸剤】ともに、投入するとすぐに反応が進み、トレースがしっかりとした。 特に【チンキ剤】で顕著だった。このあたりはいつもの通りといった感じ。
【チンキ剤】はアルコール臭がしており、【浸剤】では若干草っぽい匂いがするかなといった程度。
色はチンキ剤のほうは濃い目のベージュで少し赤みがかっている。浸剤の方は赤みがなく暗めのベージュ。2種類ともダンボール箱で24時間保温。
保温開始30後くらいに、浸出油の型入れが済んで、箱に入れるため開けたところ、チンキ剤ではもうジェル化が始まっていた。
その後も外からさわっても温かさがあり、十分にジェル化したと考えられそう。

★型出し

型出しのタイミングでは大きな問題なし。すべてジェル化した模様。

★カット

【浸出油】は色はかなり淡くなった。香りは全くなし。
【チンキ剤】はアルコール臭の中に少し草のような香りがある。色はベージュで浸剤に比べて赤みがある。
【浸剤】香りはほとんど感じられない。こちらもベージュになったが、【チンキ剤】より薄い。 【チンキ剤】【浸剤】がやや軟らかい。

写真左から:「浸剤」「浸出油」「チンキ剤」

★テスト

色は、どれもカット時より若干薄くなった程度でほとんど変わりなし。
【浸出油】は泡立ちが弱い。洗浄力はかなり穏やかに感じられた。香りはしない。
【チンキ剤】は泡立ちがよく、使いやすい印象。アルコール臭は泡立てた時には心配したほど匂わず、草っぽい香りがある。それがユキノシタの香りかというと違うように思う。
【浸剤】はどちらかとういと【チンキ剤】に近いが、【浸出油】ほどの穏やかさもない
【チンキ剤】の使いやすい印象もなく、可も不可もないといった印象。香りはない。
香りがあるわけでも、色がきれいなわけでもなく、全体にどこがユキノシタの特徴なのかがわかりづらくもったいないようにも思ったが、【浸出油】と【チンキ剤】を併用すると少し特徴のあるせっけんができるのではないだろうか。


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【プロフィール】

石けん制作-野乃屋 http://nonoya.net

ハーブ文-葉の園 http://www.hanoen.jp