BOOKクラブ

みんなに注目されているソーパーさんたちに、石けん作りや日々の暮らしに影響を与えたお気に入りの一冊と、その本にまつわるエピソードを紹介してもらいました。

「奇跡のリンゴ」

私が紹介させていただきますのは「奇跡のリンゴ」です。
NHKのドキュメンタリー番組で放送された内容を、番組でキャスターを務められていた脳科学者の茂木健一郎さんが、書籍化しましょう!と提案し出版に至ったのだそうです。番組を見た方も多いと思いますし、たおさんが以前ブログでこの本を紹介されていましたので、ご存知の方もたくさんおられるのではないかと思います。
ふむふむ、と思ったり、なるほど、と思ったりする本は数知れないのですが、この本を読んだときの気持ちを表現する簡潔な言葉がなかなかうまく見つけられません。あえて文字を使うなら『!!』といったところでしょうか。
テレビで放送があったのは2006年の冬だったそうですが、私は残念ながら見ていませんでした。書店でこの本が平積みされているのを見たのが2008年だったと思います。

その時、たいへん失礼ではありますが、表紙の写真にとても違和感を感じてしまいました。
というのは、表題から想像されるのは、もちろん、ガブリと食べたいおいしいリンゴですよね、私はリンゴを食べるのは丸かじりが一番好きなのです。なのに、表紙でとても優しく微笑むおじさんには、前歯が無いではありませんか!!
おじさんとリンゴのギャップについ手に取った本なのでした。
内容は、農薬なしでは栽培は不可能とされた、リンゴの完全無農薬栽培を成し遂げた、歯抜けのおじさん・・いいえ、木村秋則さんの偉大な奇跡の物語です。が、しかし、ただの試行錯誤の記録ではありません。
農業や自然界の話に始まって、人間関係、食育、言霊、宇宙、不思議キーワードもたくさん出てきて・・。ああ、なんて『!!』なのでしょう。
地上で生きるリンゴの木とそれを取り巻く様々なものへの目の付けどころのこまやかさ、何が起こっているのか、どういう仕組みなのか、なぜそうなるのだろう、と追求する探究心や、観察力、それに加えて、想像力のなせる技。
無農薬を成功させるための数々のチャレンジはもちろんですか、その一つ一つに答えをみつける努力はただものではありません。
たとえば、細やかな観察は、リンゴの木にとどまらず、害虫や雑草など周りのすべてになのです。害虫や雑草も、人間の都合で“害”だの“雑”だのと悪者扱いされているだけで、自然の連鎖の中では必要な存在なのですね。

木村さんは、リンゴ畑に生える草は刈り取ってしまわずに、草の種類によってやってくる虫の変化を観察しました。テントウ虫を何日も観察し、1日に何匹アブラムシを食べるか数えただなんて、虫の研究家ならまだしも、なかなか考えが及ぶ目線ではありません。
そういった見える部分の観察に始まり、達成が近づくにつれ、それは見えない部分、たとえば土の中の微生物の世界を考える、とてもミクロな世界の不思議だったり、もうひとつの見えない部分である、リンゴの木への言葉かけの効果、いわゆる気や言霊の世界でしょうか。そして、なんと宇宙的な異空間の話や体験までつづられています。(もちろん木村さんに歯が無い理由もね。)
木村さんの取り組みを読んでいて、私はなぜか、大好きな喜劇俳優チャールズ・チャップリンとオーバーラップしました。
チャップリンの名言に「人生に必要なものは、勇気と想像力、そしてほんの少しのお金」とあります、また納得のワンテイクをとるために膨大なフィルムを費やしたエピソードにも、木村さんの姿勢がかさなったのかもしれません。
周りの人からは『かまどけし』と言われ(かまどの火を消してしまうような事をする変わり者、という意味だそうです)身近な人とも疎遠になり、お金も尽きてしまいそうななかで、木村さんは「一つのものに狂えば、いつか必ず答えにめぐり合う」と、自分を信じる勇気と想像力をもって、じっくり見て感じることを繰りかえし、新しい経験と情報を組み立てながら、少しづつ答えを出していくのです。
ものづくりにかける気持ちとして共感することも多く、リンゴ農家なのですから、売れるモノづくりをしなくてはいけない立場でありながら、本当に良い、という部分に突き進むのです。売るだけのリンゴなら情報や常識を守れば作ることができるけれど、本当にそれは「よい」なのかを、追求する姿勢。
結果、ひたすら“よい”を追求した木村さんのリンゴは、なんと!腐らないそうなのです。この本の冒頭には、腐らないことが書かれています。そしてそれは、本当に深い自然の味がするのだそうです。“良い”味なのですね。
自分の手から生み出されていくものは、自分がそれを制しているのでは決してなく、それが成り立っていくことをこの手は手伝っているだけ。自分の理屈にのっとって、物が出来上がっていくわけでもない、自然界の法則に乗って、出来上がっていくあらゆる条件を、自分の手はただ巡り合わせているだけであって、自然の中での調和を手伝っているだけ、ということを感じます。

木村さんも別の本で、「何も自分がリンゴを作っているのではない、リンゴを作るのは、リンゴ自身の力と、土と太陽と水ですから、自分はリンゴのお手伝い人ですよ。」とおっしゃっています。
『かまどけし』では決してなく、奇跡の結果を出した木村さんは、今、全国から講演の依頼が多いのだそうです。
「あてにしてくれる人がいてくれて、しあわせです」とおっしゃいます。
この世に、奇跡の織りなす偶然で生まれてきた自分と、奇跡のめぐりあわせで操ることになった、からだ、心、能力を、否定することなく、それも一度しか流れることのないわずかな時間の中で自分ができることを前向きに考えることができた時に、自分なりの幸せが得られるのかな、と思います。
私の場合は、大きな農園ではなくて、少しのハーブ畑やテーブルの上のボールの中で石けんを作る世界ではあるけれど、背景に広がる心持ちは同じだなと思いました。
これからも“手づくる石けん”のおてつだい、それは、石けんが私の手元でできていくことのお手伝いであったり、石けん作りを楽しみに来て下さる方々への“手づくる気持ち”へのお手伝いであったり・・『手から手へ伝える』そんな活動をじっくり、じんわり続けていきたいなと思っています。
最後に
この原稿のご依頼をいただいて、この本を紹介しようと決めたまでは早かったのです。で、書き始めて、半分くらいまで進んだときに、もういちど読んでみました。すると、書きすすめなくなってしまいました。
それは、この本から受けた『!!』を、いただいた原稿枠の中にまとめることができなくなったからです。そして『!!』はこの一冊にとどまらず、何冊かある木村さんの本ほとんどに、また違った『!!』をたくさん感じてしまって、ますますハマってしまったのでした。書ききれない『!!』盛りだくさんなので、ぜひぜひ皆さんも読んで感じてくださいね!!


スポンサードリンク

【ソーパープロフィール】

しゃぼんmamaさん 京都府宇治市在住
◆メインサイト『しゃぼんmama』 http://syabonmama.okoshi-yasu.com
◆ブログ『@まいほーむ』http://syabonmama.jugem.jp
CS講師の経験とハーブ、アロマ、ラッピングの資格をベースに、“手づくる気持ちへのお手伝い・手づくる楽しみを手から手へ伝承すること”をコンセプトに石けん教室などを開催。自宅の庭は約50種類のハーブガーデン。
植物の専門家が集う地元商工会議所の取り組みでのハーブ塾でも、畑での栽培から研究・活用を模索中。石けん作りの日々をつづるブログ『@まいほーむ』http://syabonmama.jugem.jp/ はアクセス50万を超えました。