BOOKクラブ

みんなに注目されているソーパーさんたちに、石けん作りや日々の暮らしに影響を与えたお気に入りの一冊と、その本にまつわるエピソードを紹介してもらいました。

「だいじょうぶ だいじょうぶ」

8月8日、娘の4歳の誕生日を前に今までの4年間を振り返っていた時に、たおさんから一通のメールが来ました。
それがこの、手作り石けんウェブブッククラブの記事の依頼でした。
メールを読んだ瞬間、「うわぁぁ~!どがんしよ~!(どうしよう!)」と、横にいた娘に叫びかけました(笑)。
すると娘からすぐに、「おかあさん、だいじょうぶ、だいじょうぶ!」という言葉がかえってきました。
あまりにも大きい話をいただいて、驚きと喜びと「私でいいのかなぁ」という思いが入り混じった複雑な気持ちになっていたのが、娘の一言で「よ~し!」という前向きな気持ちになりました。
育児中心の生活で、まだまだ何事においても勉強中の私ですが、今日はここで、私が日々の暮らしに影響を受けた本を、紹介させていただきます。

「だいじょうぶ だいじょうぶ」

薄い小さな絵本です。
そして、シンプルな絵と語りかけるようなやさしい文章に癒される、本当に素敵な絵本です。
この絵本に出会ったのは、娘がまだ1歳になっていない時に通っていた育児サークルでした。
園長先生が、「今日は私が大好きな本を読みますね!」と言って紹介してくださったのを覚えています。

絵本の中では、「僕」と「おじいちゃん」のほのぼのとしたお散歩風景が描かれています。
「僕」は、日々の何気ないこの散歩の中で、世界がどんどんひろがり、新しい発見や楽しいことに出会っていくのです。
一方で、困ったことや怖いことに出会ったり、大きな壁に気づき始める…。
でもそのたびにおじいちゃんが僕の手を握り、
「だいじょうぶ だいじょうぶ。」
とおまじないのようにつぶやいてくれます。
その言葉に後押しされて、僕はどんどん成長していきます。
そして、最後は、おじいちゃんに僕が語りかけるのです、「だいじょうぶ、だいじょうぶ、だいじょうぶだよ、おじいちゃん」と。

園長先生が絵本を読み終わったとき、私の顔は涙でいっぱいになっていました。
何度も何度も「だいじょうぶ」と唱えながら、困難を乗り越えて新しい世界に進んでいく前向きな「僕」の姿に自分を重ねていました。
そして、私の膝に座っている娘を見て、「私はこの絵本の中の『おじいちゃん』になりたい」と思ったのです。
この日から、私と娘の合言葉は「だいじょうぶ だいじょうぶ」になりました。
当時の私は、初めての育児に加え、娘のアトピー、食物アレルギーなどたくさんのことにいっぱいいっぱいになっていました。
気分転換に…と思って外出しても、外出先での娘の食事の準備をしていかなければならず、我が強く活発だった(あっ、今もそうです…)娘に振り回され、帰ってみるとお尻はおむつでかぶれていて、外出中にたまった匂いのこもった布おむつをせっせと洗わなければいけない…。
大荷物を抱えて外出するので、いつもかなり疲れて、どんどん外出が億劫になっていってました。
疲れて横になっても、娘は肌を痒がって寝ないし…。
母乳中だったので、娘のアレルギーに合わせて、卵、小麦、牛乳の除去食だった私は、食べたいものも食べられず、まいっていました。
でも、思い切って外に出てみると、ためになる情報が入ってきたり、人の優しさに触れたり、ステキな絵本に出会ったり。
やる気、勇気をたくさんもらって、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と自分に言い聞かせられるようになりました。

せっけんも。
当時の私は、せっけんを作り始めたばかりで、作るたびに疑問は増え、これまたいっぱいいっぱいに。
調べるほどに「本当はどうなのよ!」という状態になり、とりあえず同じレシピで娘のアトピーのためだけにせっけんを作っていた時期がありました。
でも、やはり、自分が作ったせっけんを、娘が喜んでくれるのを見ると、「今度はどんなせっけんを作ろう!」と心が動くのです。
心が動くままに、素直に…。
この本の「僕」の出来事と、自分のせっけんでの出来事をリンクさせながら、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」。
私は、そう唱えながら、せっけんを作り続けました。

せっけんを作っていると、思い通りに行かないことがたくさんあると思います。
私がせっけんを作り始めた時のように、知らないことが多すぎて困惑するというだけでなく、本格的に作っていけばいくほど、困難の渦に飲み込まれたり、大きすぎる壁にぶち当たったり、自分が望んでいない方向に複雑に事が動いてしまうこともあると思います。
でも、そんな時ほど、シンプルに、自然に、素直に心をリセットしようとすると、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と思える余裕が生まれて、自分が気持ちいい方向に進んでいけるような気がするのです。
この本のように、シンプルで簡単なのに、なぜか、やさしさ、強さ、しなやかさ、楽しさなど、人生単位で感じるたくさんの奥深い事があたたかくまあるく醸し出す…、せっけん作りもそうあったらいいなぁと思っています。
せっけん作りだけでなく、人生のいろんな場面で活用して欲しい絵本です。
5分もあれば読んでしまう、易しく優しい絵本なので、ぜひみなさんも読んでみてください。


スポンサードリンク

【ソーパープロフィール】

久原 抄織(くばら さおり)さん 長崎県出身、佐賀県在住
2008年、娘(凛)のアトピーをきっかけに、手作りせっけんに出会いました。自宅でちょこちょこ作っていたせっけんが口コミで広がり、2009年からSavon de Rin(凛のせっけん)として活動を開始。看護師だった経験と周りの方々の温かな協力により、2011年10月に化粧品製造業、化粧品製造販売業を取得し、現在、自宅横の工房で化粧石鹸の製造販売を行っています。まだまだ修行中、模索中です。