特集

ライフワークを通して自然や植物、地球環境とか、人と人とのつながり、ものづくりや手づくりの心について思うことなど様々な分野で活躍する人たちからのメッセージをお届けします。

vol.20 キングダム オブ モロッコ

アルガンフォレスト

モロッコはその名の通り、国王モハメドⅥ世を国家元首とする王国で、アフリカ大陸の北西に位置し、地中海と大西洋に面し温暖な気候で過ごしやすいのが特徴です。
面積は砂漠を除くと日本の1.2倍、人口は3000万人で、首都はラバトというところにあります。
このモロッコ南西部、アガディールからエッサウィラー帯には、80万ヘクタールに広がるアルガンフォレストがあります。あたり一面見渡す限りアルガンの樹が生い茂り、街で見るアルガンの樹と全く違う険しい表情で「この過酷な環境の中で数百年ここに佇んでいる」と人間に訴えかけているようです。
このアルガンフォレストはパリに本部を置くユネスコから、1998年に生物圏保護地域の指定を受け、2001年にはイタリアスローフード協会から「味の方舟」に選定されて、世界的にアルガンの存在が知られるようになりました。
アルガンオイルはアルガンツリーから採油しますが、この木はモロッコ南西部以外では見られません。

私は、アルガンフォレストとアルガンオイル、そしてそこに暮らす人々を自身で確かめたくてモロッコ南西部へ旅立ちました。

写真左から:アルガンツリー アルガンの実を食べる放牧された山羊

アルガンツリー

アルガンツリーは、古代フェニキア時代からモロッコ南西部に自生する、アカテツ科の一種で、容赦なく照りつける強い日差しと、極端な少雨にも耐える強靭な木です。
大きさは8~10メートル 果実はオリーブ大の果肉のついた実がなり、熟成時には黄色くなります。成長した木からは、年間6~8キロ程度の実を収穫することができます。
密度が高く硬いアルガンツリーは、数世紀にわたって木材(建築、木炭加工)として使われてきたため、過度に伐採されました。その上、地球温暖化の影響で砂漠地帯が広がってアルガンツリーのエリアが限られてきているために、現在は苗木の植樹がさかんに行われているのです。

写真:アルガンの実

アルガンオイル

アルガンはフェニキア時代から生活の一部として、この地方の人々に親しまれてきました。現在でもオイルは食用、薬用、美容にと活用され、万能の役割を果たしています。
カラカラに乾燥した気候にもかかわらず、女性たちの髪はつややかで、肌は透き通るように美しかったのがとても印象的でした。
生命力溢れる木の恵みから採取されるアルガンオイルは、マジックオイルと呼ばれていて、黄金色なので金のオイルとも言われます。
使い心地はオイルと思えないほどサラッとして、肌なじみがよく、とても使いやすいです。
しかも自生するアルガンツリーから採油するので、人にも自然にもやさしい自然な生態系を尊重した農法なのです。

写真:熟したアルガンの実

女性の雇用創出

写真:種を割る作業 働く女性と共に

昔から家庭でアルガンの実からオイルを絞るのは主婦の役目だったため、アルガンオイルの生産現場は全員女性です。もともとこの地方は女性雇用の場がわずかにあるだけです。日本のようにたやすくパートタイムの職を得ることはできないので、アルガンオイルの製造は地元の女性たちが元気良く働ける場となっているのです。
アルガンフォレストを守ることは地球の砂漠化を防ぐと共に、女性の社会進出と雇用創出の大きな役割も担っています。私はアルガンオイルと出会ったことで、地球環境のためとこの地方の女性たちのために、微力ながらお役にたてるよう活動を始めました。


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【プロフィール】

Satomi KAMO 加茂さとみ
http://www.larochelle.jp/
1998年よりパリ在住 現在は東京在住
株式会社ノエミジャポン代表
2007年モロッコ現地法人 MAHIAO設立
モロッコのアルガンプロジェクトに協力しアルガン植樹を推進している。