BOOKクラブ

みんなに注目されているソーパーさんたちに、石けん作りや日々の暮らしに影響を与えたお気に入りの一冊と、その本にまつわるエピソードを紹介してもらいました。

「中江藤樹」

 この度、私がご紹介するのは、童門冬二著、藤樹の思想と生涯を綴った『中江藤樹』である。

~中江藤樹(1608-1648)は、近江聖人として知られ江戸初期の儒学者である。藤樹は、母へ孝行をつくすために武士の身分を捨て、故郷の安曇川へ帰り、身分分け隔てない【藤樹書院】という私塾を開き、『五事を正す』『致良知』『明徳』『孝行』『愛敬』『知行合一』を説いた。陽明学の影響を受け、神道・道教・仏教を融合した「藤樹学」の教えは、村人達に広がり、そして、徐々に全国へ広がった。その教えは後に、西郷隆盛などの幕末の武士達にも多大な影響を与えた~

 思い起こせば、幼い頃から『五事を正す』という言葉を、父から常日頃、聞かされていた記憶がある。五事を正すとは、『貌・言・視・聴・思』和やかな顔で接すること、気持ちを汲んだ言葉で話すこと、澄んだまなざしで見つめること、きちんと聞くこと、正直であることの五つの事である。この心がけを絶えず意識することで、他者だけでなく、自己と常に向き合うよう、父は伝えたかったのであろう。

 私は、この中江藤樹の本を手にしたのは十数年前である。この本を読んだ時、懐かしさと尊さをも覚えた。父から聞かされていた『五事を正す』という藤樹の教えに深く踏み入れることになる。それは、 私に命を授かる僅か前でもあった。始めも終わりもない天地万物の永遠な藤樹の教えを、最愛なる娘に名付けることにした。万物を愛する広い心を持ち、人生に起こり得る全ての事柄を柔軟に受け入れ、凛々しく思いやりのある素直な心と感謝の気持ちを持てる人へと成長を願って。そして、自己の可能性を信じ、志しを高め合える友と励まし合い、しっかり歩んでくれるように。

 『致良知』人は生を受けた時から天より与えられた明徳を持ち、その明徳という鏡を私利私欲によって曇らせた心にしてはいけない。しかし、私の今までの人生の中で、大きな判断をしなければいけないこと、進むべき道に迷い込むこともあった。渦中だと、とても直視するのは困難なことだが、揺るぎない強い心と素直な心と向き合うとことで、不思議と全ては善い方向へ導かれた。善し悪しであろうが、心のありようで必然的に自ら善縁を創り起こす。その明徳という鏡を幾度も幾度も磨き続けることが善縁や善いことに結びつけ、尊いものにしているということだ。意識してこそ善いことに繋がると、重ねる歳を経て今思う。

 また、『孝行』とは、何時の時代になっても変わらない感謝の心だと思っている。父母を敬い、先祖を尊び、家族や子ども、また友を大切にすることも孝行である。私の母に『お母さん、ありがとう』と感謝を伝えると、常に『ありがとうと言ってくれて、こちらこそがありがとう』と返ってくる。正しく人も鏡である。感謝を伝えると感謝が返ってくる。感謝は優しさだけでなく、時には強さや助けたい心と響き合っているかのように感じる。その心は他者へ広がり、さらに天地へ報恩感謝の心を育むのではないか。人は一人では生きていけないのだから。孝行とは、とても温かく尊いものだ。

 両親、恩師、友、娘、これまでに出逢った方々、これから出逢う方々、天地万物に『愛敬』と『感謝』の心をもって歩んで行く。

〜 追記 〜
小幡有樹子先生から、このような光栄なる機会を与え頂きましたことに、深く深く感謝申し上げます。


スポンサードリンク

【ソーパープロフィール】

清水 章世さん 京都府京都市出身
京都・手作り石けん教室 Surprise (シュルプリーズ )主宰
ハンドメイド石けんマイスター

■ホームページ http://kyoto-surprise.com/
◆ブログ http://s.ameblo.jp/fuwafuwaufufu?frm_id=v.jpameblo

輝く驚きと感動、そして温かく幸せに包まれる余韻をもたらすことをモットーにした手作り石けん教室。あなたの心ごと豊かな笑顔にしたい!あなたの笑顔が私の原動力!